ANALIFE -アナライフ-

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Monologue A

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感情と行動のバランスがコントロールできなくなり、不眠症に陥り、レイプした。

 初めてのレイプのきっかけは、意外なところにある。その頃僕は、大学に入学したところ。一浪して入学したのだけれど、受験勉強を真面目にしすぎたせいか、急な環境の変化な体がなじまず、不眠症に陥った。眠れない夜が一週間続いた後、精神科の医者に行った。そこで僕は睡眠薬と精神安定剤を処方してもらったのだが、この睡眠薬が本当によく効いた。「ハルシオン」は服用して約15分で軽くスーッとした眠気がおそってくる。人によっていろいろ差はあるが、約3時間はまず目覚めない。

 この効き目に感心した僕は、コンパで一緒になった女性を騙して興味本意に使ってみた。酔っぱらった彼女を車で送るとか言って誘い出し、販売機で買ったお茶にまぜて薬を飲ませた。車に乗ってしばらくすると彼女は寝息をたてはじめた。車を停めて様子を見ても、起きる気配はまったくない。そこで僕はスカートの中に手を入れ、パンツを脱がせ、レイプした。服は脱がせなかったし、乱暴なこともしなかった。もちろん中に出してもいない。しかし僕は今までのセックスにはなかった快感を味わった。そして、その時から、頭の中で鳴り響く歌が始まった。
彼女に「上がっていく?」と聞かれたが断った。事はもう済ませてしまったのだ。

 僕は、時々妙な感覚に捕らわれる。街で見かけるたくさんの人々。
僕には、それがどうしても、僕と同じように心がありそこで何かを考えているヒトと思えないのだ。大学に入って、受験勉強から解放され、さしあたっての目標が見えなくなった時、僕の心は急に不安定になった。目の前に写るヒトやモノの区別がつかなくなった。感情と行動のバランスがコントロールできなくなり、不眠症に陥り、レイプした。そして、僕は、新しい生き甲斐を発見した。

 僕は今、コンスタントにレイプを続けている。初めてのレイプ以来、僕は、24時間、寝ている時以外は常に「レイプ」について考えるようになった。レイプは多くの危険をはらんでいる。警察に捕まる危険はもちろん、相手に傷つけられる危険もある。特に、目とペニスは人間のからだの中でもっとも弱い場所であるにもかかわらず、事の性格上どうしても相手の前に晒すことになるので、十分に気を付けなければならない。

 レイプは女性をモノとして扱う行為に他ならない。女性の背後にある生活感や人間性を無視して行われるセックス。そしてそこには、一見同じような行為に見える売春等と違い、コミュニケーションと言えるものは存在しない。そう、コミュニケーション。僕は、奇妙な感覚を感じるようになったあの時から、あらゆる意味でのコミュニケーションを行うことができなくなったのだ。目に入る情報が、頭を通らずに、直接体内の各器官を反応させている。それとは別に、頭の中にある知識から生まれた考え方だけで、あたかも真っ当な生活をしているように演じている。彼女とのセックスで行う射精は、頭の中で射精に至る考えを巡らせ、やっとことを行う。
僕の眼球は、様々な女性の姿をそこに写し出し、その情報を頭を通さずに直接ペニスに送り込む。そうして初めて頭はそのことに気が付き、行動を起こす段取りを考えはじめる

 レイプは親告罪だ。被害者が訴えなければ、犯罪にはならない。世紀末のある年、警視庁の統計によると、訴えとして認められたレイプの件数は1500件。そのうち検挙に至ったものが1410件。検挙された人数は1160人。検挙率は94パーセントにのぼる。この統計だけで判断すると、レイプが成功する確率は、10分の1以下。決して割のいい犯罪とは言えない。しかし、社会に表面化しないレイプ、つまり被害者が訴えを起こさずに泣き寝入りしてしまうというケースを含めると、その総数は50倍以上にのぼるという話もある。つまり、捕まる確率が50回に1回、あるいは50人に1人以下ということになる。僕の経験から言わせてもらうと、感情に流されず、細心の注意を払って大胆に行動を起こせば、レイプで捕まる可能性は限り無くゼロに近い。


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